フィガロの結婚 第2幕
フィガロの「伯爵をこらしめる計画」を、伯爵夫人とスザンナで進めることになりました。計画は「スザンナの名前で伯爵を呼び出し、女装をしたケルビーノが身代わりで現れ、浮気を明らかにする」というもの。
- ケルビーノが、スザンナの身代わりになるために「女装」
- 女装は、伯爵夫人とスザンナが手伝う
女装のために伯爵夫人の部屋を訪れたケルビーノ。ケルビーノは自作の歌を歌うよう、伯爵夫人に頼まれます。その時の歌が「恋とはどんなものかしら」です。
「恋とはどんなものかしら」Voi che sapete【歌詞と対訳】
Voi che sapete
che cosa è amor,
donne, vedete
s’io l’ho nel cor.
Quello ch’io provo
vi ridirò,
è per me nuovo,
capir nol so.
Sento un affetto
pien di desir,
ch’ora è diletto,
ch’ora è martir.
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
あなた方は知ってますよね
愛とは何か。
女性の方たち、確かめて下さい
僕の心を
僕が感じてることを
もう一度言いましょう。
初めてのことで
理解できないのです。
愛情を感じつつ、
欲望に満ちているのです。
今は、喜びであり、
同時に苦しみでもあります。
Gelo e poi sento
l’alma avvampar,
e in un momento
torno a gelar.
Ricerco un bene
fuori di me,
non so chi’l tiene,
non so cos’è.
Sospiro e gemo
senza voler,
palpito e tremo
senza saper.
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
凍えそうに感じたら
僕の魂は燃え上がり
あっという間に
凍りそうになってしまいます。
僕は良いものを探しています。
自分の外に
誰が持っているのか、わからないのです。
それが何かもわからないのです。
ため息をついたり、うめいたり、
そうしたくないのに。
ときめいたり、震えたり、
知らないうちに。
Non trovo pace
notte né dì,
ma pur mi piace
languir così.
Voi che sapete
che cosa è amor,
donne, vedete
s’io l’ho nel cor.
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/man3.webp)
安らぎが見つかりません。
夜も昼も
でも、僕は嬉しくもあるのです。
こんなふうに悩むことが
あなた方は知ってますよね
愛とは何か。
女性の方たち、確かめて下さい
僕の心を
「恋とはどんなものかしら」の解説
ケルビーノは伯爵夫人に一番熱を上げているのだから「あなた、女性」でもいいところを「あなたたち、女性たち」を選んでいます。
voi | ヴォイ | あなたたち | tu | トゥ | あなた |
donne | ドンネ | 女性たち | donna | ドンナ | 女性 |
「自分で自分がわからない」のアリアでも、スザンナに屋敷中の女たちに伝えて欲しいと言っているので、こちらもすべての女たちに向けた歌だと言えます。
「自分で自分がわからない」のアリアとつながりがある
「自分で自分がわからない」
or di foco, ora sono di ghiaccio,
今は炎になり、今度は氷になる
「恋とはどんなものかしら」
Gelo e poi sento
l’alma avvampar,
e in un momento
torno a gelar.
凍えそうに感じたら、すぐに
魂は燃え上がり
あっという間に
凍りそうに戻ってしまいます。
どちらもケルビーノのアリアで、同じようなことを言っています。「自分で自分がわからない」は自分の感情を言っていただけですが、「恋とはどんなものかしら」には女性たちに聞きたいと言う気持ちが表れています。
ボーマルシェの戯曲でも、若い女性が演じていた
ボーマルシェの戯曲(フィガロの結婚の原作)では、ケルビーノはシェリュバンという名前で登場します。ボーマルシェは、以下のように演じる役者を指定していました。
シェリュバン…若くて魅力的な女性が演じること。役柄の繊細さを演じられる若い男性がいないから。
「フィガロの結婚」は、スザンナ、伯爵夫人、伯爵、フィガロが話の中心であり、ケルビーノは脇役にしかすぎません。ですが、ケルビーノには魅力的なアリアがふたつあり、舞台上では目を引く存在です。また、舞台上で二度女装させられます。
ケルビーノを女装させる人 | 何のため? |
スザンナ、伯爵夫人 | スザンナに変装するための女装 |
バルバリーナ | 村娘に紛れ込むための女装 |
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/le-nozze-di-figaro-opera-jp.webp)
![](https://www.marching-in-okayama.net/wp-content/uploads/le-nozze-di-figaro-opera-jp.webp)