簡単にわかる「メリー・ウィドウ」あらすじと相関図

「メリー・ウィドウ」は、フランツ・レハールが作曲したオペレッタです。レハールの一番の成功作品です。見どころは、ヴィリアの歌、メリー・ウィドウ・ワルツなどがあります。

目次

オペレッタ「メリー・ウィドウ」の簡単なあらすじ

ハンナ・グラヴァリは、ポンテヴェドロ(架空の国)の大富豪の財産を引き継いだ未亡人。ハンナが別の国の男性と再婚してしまうと、国外に財産が流出してしまう。そのため、愛国心のあるツェータ男爵は、同国の男性(特にダニロ伯爵)と再婚してほしいと願っている。

ハンナは大富豪と結婚する前にダニロ伯爵と恋仲だったが、彼の伯父に反対されて破局していた。ダニロはいまだにハンナが好きだが、金目当てと思われたくないので意地を張っている。

ハンナとダニロの恋と同時に、ツェータ男爵の妻、ヴァランシエンヌとカミーユとの浮気が進行する。ハンナとダニロの恋はうまくいき、ヴァランシエンヌの浮気はうまく誤魔化されて、めでたし。

「メリー・ウィドウ」の相関図

オペレッタ「メリー・ウィドウ」の相関図
オペレッタ「メリー・ウィドウ」の相関図

「メリー・ウィドウ」の登場人物

ハンナ・グラヴァリポンテヴェドロの富豪の未亡人ソプラノ
ダニロ・ダニロヴィチ伯爵ポンテヴェドロの書記官テノール
ヴァランシエンヌツェータ男爵の妻ソプラノ
ミルコ・ツェータ男爵ポンテヴェドロの公使バリトン
カミーユ・ド・ロシヨンフランス人、ヴァランシエンヌの愛人テノール
ニェーグシュポンテヴェドロの書記官台詞のみ
クロモウポンテヴェドロの参事官バリトン
ボグダノビッチポンテヴェドロの領事バリトン
カスカーダ子爵ラテン系の外交官バリトン
ラウール・ド・サンブリオシュフランス人外交官テノール

「メリー・ウィドウ」の基本情報

  • 題名 メリー・ウィドウ Die lustige Witwe(ドイツ語) The Merry Widow(英語)
  • 作曲 レハール
  • 初演 1905年12月30日 アン・デア・ウィーン劇場
  • 原作 アンリ・メイヤックの喜劇「公使館随行員」
  • 台本 ヴィクトル・レオン、レオ・シュタイン
  • 言語 ドイツ語
  • 上演時間 2時間20分(第1幕50分 第2幕60分 第3幕30分)

「メリー・ウィドウ」第1幕

パリの公使館

ポンテヴェドロ(架空の国)のフランス公使館。着飾った紳士淑女が集まっている。

カスカーダ子爵
紳士淑女の皆さん。感謝を込めてホストを祝福するのは、客人の務めです。男爵にお礼申し上げましょう!

ツェータ男爵

今宵、皆様から喝采を浴びるのは、ホストとしてだけでなく、使者としても誇らしいことです。

全員で乾杯をする。ツェータ男爵の妻、ヴァランシエンヌが、カミーユにこっそり近づき会話する。

ヴァランシエンヌ

あなたに話したいことがあるのよ。私の扇子になんて書いたの?

カミーユ・ド・ロシヨン

あなたが僕に言うのを禁止したからね。だから、「愛している」と書いたのさ。

ツェータ男爵

妻よ、グラヴァリ夫人が到着しているか確認してくれ。

ヴァランシエンヌ

喜んで。

彼女はカミーユに意味深な視線を送って、去っていく。

カミーユ・ド・ロシヨン

あなたのお供をします。奥様!

カミーユが彼女の後を追いかける。

ツェータ男爵

グラヴァリ夫人はパリの男と結婚してはいけない。遺産はポンテヴェドロ(国)に残されなければいけないのだ。

ツェータ男爵は左から出ていき、ヴァランシエンヌとカミーユが右から戻ってくる。

カミーユ・ド・ロシヨン

一言だけ言わせてください。

ヴァランシエンヌ

私は聞きたくないのよ。終わりにしましょう。

カミーユ・ド・ロシヨン

僕はあなたを愛しています。

ヴァランシエンヌ

私は貞淑な人妻よ。危険は冒したくないの。私は失うことになり、あなたは何も得られないでしょう。だから、私たちはこの誘惑から抜け出さないといけないのよ。

「二重唱・私は貞淑な人妻」Ich bin eine anständ’ge Frau

カミーユ・ド・ロシヨン

あなたは貞淑な人妻だ。それはわかっています。でも、説教は無駄だ。危険は承知の上です。

ヴァランシエンヌとカミーユが右から出ていく。左から、ツェータ男爵とニェーグシュ(書記官)が来る。

ツェータ男爵

彼に伝言は届けたかね?

ニェーグシュ
ダニロヴィッチ伯爵はすぐに来るでしょう。

ツェータ男爵

よかった。彼はどこにいたのかね?

ニェーグシュ
マキシムに。…女の子がいるところで…

(遠くから)グラヴァリ夫人が到着したぞ。

ハンナ・グラヴァリ夫人が到着する。男性たちがハンナを取り囲んで、褒めたたえる。

ハンナ・グラヴァリ

私はまだパリに慣れていません。私はまだポンテヴェドロの者です。紳士方は私に親切ですが、私の財産のせいでしょうね。よく耳にしますわ。未亡人は求められていると。哀れな未亡人が金持ちになったときには、その価値は2倍になるそうよ。故郷ではお世辞の習慣はありません。くだらないお世辞はやめて下さいな。

「まだパリに慣れていない」Hab’ in Paris mich noch nicht ganz

男たち
そんな、奥様!私たちは正直に話していますよ。

ツェータ男爵、ヴァランシエンヌ、カミーユが、ハンナを出迎える。

ヴァランシエンヌ

奥様、あなたをお迎えできて光栄ですわ。

ハンナ・グラヴァリ

明日は皆様を招待します。

ハンナがツェータ男爵を連れて出て行く。他のメンバーもそれに続く。ヴァランシエンヌとカミーユは後に残る。

ヴァランシエンヌ

彼女と結婚しなさい。あなたは幸せになれるし、私は貞淑な妻でいられるわ。

カミーユ・ド・ロシヨン

それなら、彼女と結婚します。

ヴァランシエンヌ

何ですって!

ヴァランシエンヌはカミーユと共に去る。ダニロが公使館に到着する。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

祖国よ、昼はお前に悩まされる。外交官には夜が必要だ。仕事帰りに一息つくためにマキシムに行く。私は女性たちをあだ名で呼ぶ。ロロ、ドド、ジュジュ、クロクロ、マーゴー、フローフロー。彼女たちは、親愛なる祖国を忘れさせてくれる。シャンパンを飲み、カンカンを踊り、彼女たちとキスをする。そうやって祖国を忘れるのさ。

「おお祖国よ」Oh Vaterland, du machst bei Tag

ニェーグシュ
男爵は今グラヴァリ夫人と話しています。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

ハンナ・グラヴァリ?私は徹夜四日目なんだ。もう寝る。

ダニロは椅子に横になる。ハンナは4人の紳士を伴って、奥のホールからサロンに入ってくる。

ハンナ・グラヴァリ

皆さん、少し私を一人にして下さい。

紳士たちが去る。

ハンナ・グラヴァリ

誰かのいびきが聞こえるわ。

ハンナが寝ているダニロを起こす。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

ハンナ?今はパリに住んでいるのか?

ハンナ・グラヴァリ

パリを楽しんでいるのよ。私が失ったものを補うために。もしかしたら、結婚も。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

あなたは未亡人ではなく、ダニロヴィチ伯爵夫人だったかもしれないのに。

ハンナ・グラヴァリ

あなたの伯父さんのせいでしょ?私はお金を手に入れたわ。もし今、誰かに愛していると言われても信じない。財産目当てなのよ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

私は決してあなたに言わない。あなたを愛していると。

ハンナとダニロは別方向に去る。ヴァランシエンヌとカミーユが入る。

ヴァランシエンヌ

居心地の良い小さな部屋で、夕暮れに、二人きりで。私たちは静かに座って、手を取り合う。魔法が私たちを魅了するわ。

「二重唱」Ein trautes Zimmerlein

カミーユ・ド・ロシヨン

静かな魔法だ。僕たちを捕らえる呪文だ。

ヴァランシエンヌとカミーユは中央に向かって去る。ツェータ男爵とダニロが来る。

ツェータ男爵

やっとあなたに会えたよ。あなたは結婚するのです。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

誰とですか?

ツェータ男爵

グラヴァリ夫人がパリの男と結婚すれば、祖国の財産が失われます。頑張ってください。祖国はあなたに報いるでしょう。

ハンナが登場して、12人の紳士が続く。男性たちはハンナと踊りたがる。

ハンナ・グラヴァリ

皆さんの気分を害したくないので、踊りません。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

(自嘲気味に)彼女ほど裕福な人はいない。あいつらを追い払ってやる。

ダニロは8人の女性たちを引き連れて、再び現れる。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

おいで、踊りの妖精たち。甘いワルツを追いかけて、歌いながら踊りに参加しよう。ワルツが鳴り響く限り、踊るのだ。

ダニロは女性たちをハンナに踊りを申し込む男性たちと踊らせる。ハンナを口説く男たちはまだ残っている。

ハンナ・グラヴァリ

誰を選ぶか苦しむわ。

ヴァランシエンヌとカミーユが来る。

ヴァランシエンヌ

私が彼を推薦します。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

新たなライバルか。

ヴァランシエンヌ

彼はポルカを踊れます。マズルカも華麗に舞います。ワルツも得意ですわ。私がすべて試しました。彼をお勧めするわ。

カミーユ・ド・ロシヨン

僕を選んでください。

カミーユがハンナに近づくと、ヴァランシエンヌが嫉妬して、カミーユを引き戻す。ハンナはダニロを見る。

ハンナ・グラヴァリ

私が誰を踊りの相手として望んでいるのか?まるで私のことを気にしていないような人がいいのです。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

私は踊りません。

ハンナ・グラヴァリ

私と踊る権利を放棄するの?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

踊る権利を好きなように使っていいのですよね?奥様が与えてくれた権利は、1万フランの価値があります。チャリティーをします。この値段なら、譲ってもいい。

男たち
1万フラン?彼は狂っている。

男性たちが立ち去っていく。ハンナは怒っている。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

(ハンナに)奥様、見て下さい。男たちは決してお金を払いたがらない。今どきの紳士とはこんなものです。

カミーユ・ド・ロシヨン

(ヴァランシエンヌに)すぐに反撃しよう。1万フランは払うよ。

ヴァランシエンヌ

もう彼女に恋をしているの?

カミーユ・ド・ロシヨン

あなたが望んだことでしょう?

ヴァランシエンヌ

やめてちょうだい。

カミーユとヴァランシエンヌは立ち去る。ダニーロとハンナは二人きりになる。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

最後の男が去りました。あなたは自由だ。私は踊る準備ができています。

ハンナ・グラヴァリ

もういいいわ。踊りません。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

ヴァイオリンが鳴り、あなたを甘く誘う。

ダニロが一人で踊っていると、彼女は悩んだ後、一緒に踊り始める。

ハンナ・グラヴァリ

嫌だわ。嫌な男。なんて華麗に踊るのかしら。

二人は踊る。

「メリー・ウィドウ」第2幕

ハンナの屋敷・庭

昼間。庭には、モンテネグロの紋章や旗が飾られている。人々はモンテネグロの衣装を着ている。

ポンテヴェドロ(架空の国)は、モンテネグロ公国をモデルにしているため、モンテネグロの紋章や旗が飾られる。

ハンナ・グラヴァリ

祖国にいるように振る舞いましょう。ヴィリアと呼ばれる妖精の旋律を歌うのです。森に小さな妖精ヴィリアが住んでいました。猟師は、岩で彼女を見つけました。感じたことのない震えが若い猟師を捕まえました。ヴィリア、森の乙女、ヴィリア。僕を抱きしめて。君の恋人にしてくれ。

森の小さな少女は、彼に手を差し出して、岩屋に引っ張り込みました。彼女は若者の意識がなくなるほど、キスをしました。彼女は満足するほどキスをすると消えたのです。哀れな男はもう一度彼女に呼びかけます。ヴィリア、森の乙女、ヴィリア。僕を連れて行ってくれ。君の恋人にしてくれ。

「ヴィリアの歌」Vilja, oh Vilja

ツェータ男爵

素晴らしい!愛国的な宴ですね。

ハンナ・グラヴァリ

ありがとうございます。ですが、今日はパリの料理を用意しています。食後には、グリゼットのキャバレーがありますよ。ダニロ伯爵への特別なサプライズです。

ツェータ男爵

ニェーグシュ!すぐに伯爵をここに連れてこい。祖国からの命令だ。彼女は伯爵に興味があるんだ。私の計画は成功するぞ!

ニェーグシュがダニロを連れてくる。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

私はここにいます。

ハンナ・グラヴァリ

ダニロ伯爵。私は一歩一歩あなたに近づこうとするのに、あなたはすぐに避けてしまう。なぜなの?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

それは駆け引きの戦略だ。私は騎兵隊だ。

ハンナ・グラヴァリ

さあ、お嬢さん。顔を上げて。素敵な騎士を見てごらん。そのうちの一人があなたを花嫁にするかもしれないわ。お嬢さん。彼を行かせてはダメ。彼はあなたの夫になりますよ。思い切って彼の顔を見ましょう。

「二重唱」Heia, Mädel, aufgeschaut

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

娘の眼差しは彼の心を震わせました。

ハンナ・グラヴァリ

彼女は彼が愛の告白をすることをわかっていながら黙っているのよ。おバカな騎士さん。彼は私を理解できないのね。

ダニーロは敬礼して去る。ハンナは彼について行こうとしたが、やめる。

ハンナ・グラヴァリ

バカ、バカな騎士さん。

ハンナが去り、ダニーロが戻ってくる。男性たちが集まる。何人かの浮気が発覚する。ツェータ男爵が少し遅れてくる。

ツェータ男爵

8時に東屋に集まろう。グラヴァリ夫人について相談しないといけない。それで、みんなで集まって何をしていたのか?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

妻が浮気したときにどう振る舞うかです。

ツェータ男爵

私はそんなことを考えなくていいんだ。ありがたいね。

7人の男性が歌う。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

女たちときたら、それぞれ違って戦略など効かない。どうしたらいいのか、まるで解明されていない。ある時は褒めて、ある時は感動させて、3人目は優しさを求め、4人目はけんかをしたり、5人目は踊って笑ったり、するとほかのものをもっと欲しがる。女の研究は難しい。私たち男性は心を奪われる。魂と肉体を知ることができない。女!女!女!

「七重唱・女の扱いは難しい(女・女・女のマーチ)」Ja, das Studium der Weiber ist schwer

ダニロ以外全員が去る。ハンナが来る。

ハンナ・グラヴァリ

ダニロ伯爵。私はずっと好きだった人と結婚するべきかしら?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

好きな相手と結婚すればいい。

ハンナ・グラヴァリ

この調子だとバリの男と結婚することになりそうだわ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

気の毒な祖国。

ハンナ・グラヴァリ

でも、再婚する前に、この町の夜遊びを楽しみたいの。楽しい時間を過ごすのにぴったりな場所はどこ?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

ポンテヴェドロ公使館の舞踏会は?

ハンナ・グラヴァリ

他の楽しみがいいわ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

彼は彼女をマキシムに連れて行くでしょう。彼はそこでは最も愉快で怪しげで、いかがわし娘たちと親密なんです。

ハンナ・グラヴァリ

とても危険だわ。

二人は踊る。ヴァランシエンヌとカミーユが来る。

カミーユ・ド・ロシヨン

せめて思い出の品を下さい。

ヴァランシエンヌは自分の扇子を見つけて、一言を書く。

ヴァランシエンヌ

私の扇子だわ。この一言を書けば十分だわ。「私は貞淑な人妻です。」私はあなたに彼女と結婚してほしいのよ。

「二重唱」Mein Freund, Vernunft!

カミーユ・ド・ロシヨン

わかりました。そうしましょう。でも、心が折れそうです。

ヴァランシエンヌ

あなたの愛を捨てるのはつらいのよ。私は義務のためにそうしなければいけません。

カミーユ・ド・ロシヨン

あなたを永遠に失うのでしょうか?せめてキスをしたい。

ヴァランシエンヌ

私を怒らせないで。

カミーユ・ド・ロシヨン

許してくれ。愛しい人。5月の光に照らされたバラのつぼみのように、僕の心に愛が光った。幸せが訪れている。だが、消えてしまうのか?5月の光は消えるのか?歓喜の歌声が私の魂に響く。愛の力が、僕のためにあなたを勝ち取るだろう。

「ばらのつぼみが」Wie eine Rosenknospe

ヴァランシエンヌは両手を広げて、カミーユは彼女を抱きしめようとする。

カミーユ・ド・ロシヨン

最後のキスを!

ヴァランシエンヌ

ここではダメよ。

カミーユ・ド・ロシヨン

小さな東屋を見て下さい。そこは秘密を守ってくれるでしょう。闇が私たちを取り囲んでくれる。愛が与えてくれるものを受け取りましょう。

ヴァランシエンヌとカミーユは東屋に入る。それをニェーグシュが見ていた。

ニェーグシュ
男爵夫人とロシヨンさんが東屋に入ったぞ。

ツェータ男爵

8時だな。伯爵はまだ来ないのか?東屋を開けて、灯りをつけろ。

ニェーグシュ
中に人がいます。ロシヨンさんが女性と。

ツェータ男爵

彼の愛人だな。東屋の裏にもうひとつドアがある。鍵をかけろ!

ニェーグシュは東屋の裏に回る。ダニロが来る。

ツェータ男爵

ロシヨンの愛人がわかったぞ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

誰ですか?

ツェータ男爵

鍵穴からのぞいてみよう。

ツェータ男爵が鍵穴を覗いている間に、東屋の奥にニェーグシュが現れる。ハンナがやってきて、彼と囁き合う。二人は東屋の後ろに消える。

ツェータ男爵

私の妻だ!開けろ!開けろ!

ヴァランシエンヌは東屋の裏から出てきて、ニェーグシュを連れて離れていく。表からは、ハンナとカミーユが出てくる。

ツェータ男爵

ハンナとカミーユ!私の妻は?

ヴァランシエンヌが左から現れる。

ヴァランシエンヌ

どうしたの?

ツェータ男爵

その男が妻と一緒にいた。

ハンナ・グラヴァリ

その女性は私です。カミーユ、あなたの告白を伝えて下さい。

カミーユ・ド・ロシヨン

私は言うべきでしょうか?仕方ありません。僕が言ったことをお聞き下さい。

5月の光に照らされたバラのつぼみのように、僕の心に愛が光った。幸せが訪れている。だが、消えてしまうのか?5月の光は消えるのか?歓喜の歌声が僕の魂に響く。愛の力が、僕のためにあなたを勝ち取るだろう。

ハンナ・グラヴァリ

(ダニロは冷静なままでいられるかしら?)

ヴァランシエンヌ

(私はカミーユと別れてしまったの?あの歌は私のものなのに、彼女のために歌っている。)

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

(私の力では彼女を獲得できない。だが、無関心でもいられない。)

ツェータ男爵

(彼の言葉を信じよう。私の妻はいなかった!)

ハンナ・グラヴァリ

さて、皆さん。暗い東屋の中で、何が起こったかわかりますか?後戻りはできません。私の婚約者を紹介します。ロシヨンです。

カミーユ・ド・ロシヨン

えっ!僕?そんなことはできない。抗議する。

ハンナ・グラヴァリ

男爵夫人に恥をかかせてしまうわ。

ツェータ男爵

大金を失った。私は反対する。伯爵もそうだ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

なぜ私が反対する必要があるのか?私は祝福する。ただ、これは外交官としての意見です。結婚は双方の契約だが、すぐに三重の契約になってしまう。それは、女性の扉が開放されているからだ。

ハンナ・グラヴァリ

なんですって!陽気なパリの暮らしがいいわ。パリの恋をしよう。パリ流に自分の道を行くのよ。

ヴァランシエンヌ

パリ流に離婚までできそうだわ。

ダニロ以外が全員踊りだす。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

(私は怒りで震えて我慢できない。冷静に、冷静に。)美しい人よ。結婚について、あるお話をさせて下さい。

ハンナ・グラヴァリ

どうぞ。私は興味津々よ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

王子と王女がいました。愛し合っていましたが、一緒になることはできなかった。王子には理由があったが秘密にしたままだった。それで王女は怒った。彼女は別の男に手を差し出し、彼にはあまりにも残酷だった。「あなたは他の者より優れてはいない。私が傷つくとでも?ハハハ!間違っている。」王子が言ったのであって、私ではない。王子は言った。(カミーユを指差して)「受け取れ。あなたのものだ。」そして、彼は去った。私もだ。

「王子と王女がいた」Es waren zwei Königskinder

ハンナ・グラヴァリ

伯爵、どこに?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

どこに?マキシムに行きます。私は女性たちをあだ名で呼ぶ。ロロ、ドド、ジュジュ、クロクロ、マーゴー、フローフロー。彼女たちは不安な気持ちを忘れさせてくれるだろう。

ダニロが去る。

ハンナ・グラヴァリ

彼は一人で私を愛しているわ。彼は罠にかかる。

「メリー・ウィドウ」第3幕

ハンナの屋敷

ハンナの屋敷は、マキシムのように飾り付けられている。

ツェータ男爵

この音楽は何だね?

ニェーグシュ
グラヴァリ夫人がキャバレーを再現しています。本物の踊り子と見習いです。その中に、あなたの奥様がいますよ。

ツェータ男爵

私の妻が?

踊り子たちが出てくる。

ヴァランシエンヌ

そう、私たち、パリのキャバレーのグリゼット。ロロ、ドド、ジュジュ、フローフロー、クロクロ、マーゴー、そして私。夕暮れの大通りを、てくてく歩く。私たちは媚を売って歩き回る。

「私たち、グリゼット」Ja, wir sind es, die Grisetten

観客が歓声を上げる。ハンナが広間に入る。使用人が慌てて入ってくる。

使用人
男爵、伯爵、急ぎの知らせです。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

「グラヴァリ夫人の財産が国内に残らなければ、国家破綻は目前である。」

ツェータ男爵

私はあなたの愛国心に訴えなければいけない。彼女のハートを射止めるのだ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

いいだろう。だが、これだけは言っておこう。ハンナがロシヨンと結婚するなら、私は修道院に行く。

ツェータ男爵

よろしい。それでこそ愛国者だ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

…女子修道院にね。

人々が去り、ハンナとダニロが残る。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

私と祖国が、あなたとロシヨンの結婚を反対する。

ハンナ・グラヴァリ

ロシヨンとは結婚しないわ。交際もしていないのよ。あの時はとある人妻を救うために、身を挺したのよ。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

もう一人の女性?でも、私は…

ハンナ・グラヴァリ

どうして言えないの?

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

唇は黙っていても、ヴァイオリンの音はささやく。愛してくれと。すべてのステップがお願いする。愛してくれと。手のひらに明らかに感じる。それは真実であると。愛していると。

「二重唱・唇は黙っていても(メリー・ウィドウ・ワルツ)」Lippen schweigen, ‘s flüstern Geigen

人々が集まってくる。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

我らの陽気な未亡人は、ロシヨンと結婚しません。

ニェーグシュ
この扇子を東屋で発見しました。

ヴァランシエンヌ

私の扇子だわ。

ツェータ男爵

これは妻の字だ。離婚だ。私は自由だ。(ハンナに)祖国の名において、結婚を申し出る。

ハンナ・グラヴァリ

光栄ですわ。でも、言っておかなければなりません。亡き夫の遺言により、私は再婚で財産を失います。

ツェータ男爵

失う?申し出を取り下げます。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

ハンナ!お金はないのか!大好きだ。愛しているよ。

ツェータ男爵

お金がないのに、連れ添うのか?

ハンナ・グラヴァリ

ちょっと違います。私が損をするというのが亡き夫の言い分です。新しい夫の手に財産が渡るのです。

ダニロ・ダニロヴィチ伯爵

もう今なら、あなたが倍の億万長者でもあなたと結婚しますよ。

ツェータ男爵

だが、この扇子は何なんだ!

ヴァランシエンヌ

私が書いた文字を読むといいわ。

ツェータ男爵

「私は貞淑な人妻です。」許してくれ。

全員で歌う。

ハンナ・グラヴァリ

そう、女の研究は難しいのよ。

「女の扱いは難しい(女・女・女のマーチ)」Ja, das Studium der Weiber ist schwer

女の魂も肉体も知ることができない。

全員
女!女!女!黒髪でも、赤毛でも、金髪でも、関係ない。男はとりこになるのだ。

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