簡単にわかる「サムソンとデリラ」あらすじと相関図|サン=サーンス

「サムソンとデリラ」はサン=サーンスによって作曲された3幕のオペラです。サン=サーンスが作曲したオペラのうち、一番有名な作品です。

「サムソンとデリラ」の見どころ、聴きどころとしては、デリラの「春が始まれば」Printemps qui commence「あなたの声に私の心も開く」Mon coeur s’ouvre à ta voix、「バッカナール」Bacchanale(バレエ音楽)があります。

目次

オペラ・歌劇「サムソンとデリラ」の簡単なあらすじ

ヘブライ人はペリシテ人に支配されていた。怪力のサムソンはヘブライ人の民衆に「許しの時が来た」と神の言葉を伝える。ヘブライ人とサムソンは反乱を起こす。ダゴンの大祭司やペリシテ人たちは町を捨てる。祝うヘブライ人たちやサムソンのもとに、美女のデリラが現れる。デリラがサムソンを誘惑して、デリラの家で待つと伝える。

デリラはサムソンを待っている。彼女は過去に3度彼を誘惑しており、今度こそ彼の力の秘密を聞き出すと決意している。サムソンが現れる。誘惑に成功して、秘密を聞き出す。デリラはペリシテ人の兵士を呼び、サムソンを引き渡す。

サムソンは髪を切られ盲目になり、奴隷として働かされている。ダゴンの大祭司が神殿で祝宴を開き、サムソンが呼ばれる。サムソンは神殿の中央にある2本の柱を揺らし、神殿を崩壊させる。

「サムソンとデリラ」の相関図

オペラ「サムソンとデリラ」の相関図
オペラ「サムソンとデリラ」の相関図

「サムソンとデリラ」の登場人物

サムソン怪力の男・ヘブライ人テノール
デリラ美女・ペリシテ人メゾソプラノ
ダゴンの大祭司大祭司・ペリシテ人バリトン
アビメレクガザの太守・ペリシテ人バス
ヘブライの長老長老・ヘブライ人バス

「サムソンとデリラ」の基本情報

  • 題名 サムソンとデリラ Samson et Dalila
  • 作曲 サン=サーンス
  • 初演 1877年12月2日 ヴァイマル大公歌劇場
  • 原作 「旧約聖書」士師記 第13章~第16章
  • 台本 フェルディナン・ルメール
  • 言語 フランス語
  • 上演時間 2時間10分(第1幕45分 第2幕45分 第3幕40分)

「サムソンとデリラ」第1幕

ガザの町の広場

夜、ヘブライ人の群衆が広場に集まっている。群衆の中にサムソンがいる。

ヘブライ人ら
神よ、イスラエルの神よ。ひざまずいて懇願するあなたの子供たちの祈りに耳を傾けて下さい。あなたの民と悲惨さを哀れみ下さい。

「合唱」Dieu d’Israël!

サムソン

やめよ。兄弟たちよ。私たちの先祖の聖なる神を祝福しよう。許しの時は来た。そう、私の心に響く声!私の口から語られるのは神からの声だ。善に満ちた神は祈りを聞き、自由を約束する。兄弟たちよ、私たちは鎖を断ち切り、イスラエルの唯一の神の祭壇を作るのだ。

「やめよ、兄弟たちよ」Arrêtez, ô mes frères!

ガザの太守アビメレク、ペリシテ人の兵士、軍人が来る。

ガザの太守(アビメレク)
ここで声を上げるのは誰だ?卑しい奴隷の群れは、いつも我らの法律に逆らい、足枷を壊そうとしている。お前たちが懇願する神は、お前たちの叫びに耳を貸さない。彼の力が無力でないなら、神性を見せてくれ。神々の中で最も偉大なダゴンと比較になると思うのか?

サムソン

神がこれほどの悪口を言われて、大地は震えなかったか?神よ、深淵は満たされています。私は天使の手の中に炎の武器を見ています。ついに時は来た。復讐に燃える神の時だ。雲の中に神の怒りがはじけるのを聞いた。私たちは大地が震えるのを感じ、天に稲妻が輝く。

ヘブライ人ら
そうだ。私たちは大地が震えるのを感じ、天に稲妻が輝く。

ガザの太守(アビメレク)
やめろ!愚かな。

アビメレクは剣を持ってサムソンに向かう。サムソンは彼の手から剣を奪い、彼を斬る。その場にいたペリシテ人たちは混乱に陥る。サムソンとヘブライ人たちが立ち去る。

ダゴンの神殿の扉が開く。ダゴンの大祭司に続いて、使用人と衛兵が出てくる。大祭司はアビメレクの遺体の前で立ち止まる。

ダゴンの大祭司
私は何を見ているのか?アビメレク!奴隷に襲われるとは!なぜお前たちは彼らを逃したのか!追え!兵士たちよ!

ペリシテ人の兵士たち
全身の血が凍り付くようでした。武器を探そうとしましたが、腕が無力でした。心は怯えて、膝が震えました。

ダゴンの大祭司
臆病者!お前は戦いから逃げるのか!

使者が来る。

使者
サムソンに率いられた猛烈な軍隊が、収穫物を荒らしながら反乱を起こしています。

2人のペリシテ人と使者
不必要な危険から逃れましょう。できるだけ早くこの場所から離れるのです。

ダゴンの大祭司
イスラエルの子らは、永遠に呪われよ。彼らが崇拝する神は呪われよ。

2人のペリシテ人と使者
山へ逃げましょう。この場所を捨てましょう。私たちの家、仲間、私たちの神々までも!

彼らはアビメレクの遺体を抱えて去る。彼らが立ち去ると、ヘブライ人たちが集まってくる。太陽が昇り始める。

ヘブライ人の長老ら
喜びの賛歌よ、救出の賛歌よ。神は全能の力で私たちを救って下さった。神は全能の力でイスラエルを救って下さった。

サムソンに率いられた若いヘブライ人たちが来る。ダゴンの神殿の扉が開く。デリラが現れる。ペリシテ人の女性たちが花輪を持って彼女の後に続く。

ペリシテ人の女たち
勝利した戦士の額を飾るために、春が私たちに花を連れてきました。

デリラ

私の心に君臨している方の勝利を祝うために来ました。デリラは勝者に栄光より愛を望んでいます。愛しい人よ、ソレクの谷へ私の歩みに従って下さい。寂しい家の中で、デリラは両手を広げています。

サムソン

神よ、私の弱さを見抜く方よ。あなたのしもべに慈悲を!

ヘブライ人の長老
彼女の側から離れなさい。異国の娘を避けて、恐れなさい。

デリラと巫女たちは踊り始める。

デリラ

春が始まれば、愛する心に希望をもたらし、あなたの息吹が過ぎ去れば、大地から不幸な日々を消し去ります。

「春が始まれば」Printemps qui commence

デリラは歌いながら神殿に戻り、その視線でサムソンを挑発する。

「サムソンとデリラ」第2幕

ソレクの谷にある、デリラの家

デリラは家の前の岩に座っている。

デリラ

愛よ、私の弱さを助けに来て。彼の胸に毒を注いで。明日には、私の技で落としたサムソンを鎖につなげよう。彼は無駄に望むでしょう。自分の心から私を追い払うことができるように。彼は私のもの。私の奴隷!

「愛よ、弱い私に力を貸して」Amour! viens aider ma faiblesse!

ダゴンの大祭司がデリラを訪ねてくる。

ダゴンの大祭司
山を越えてお前に会いに来た。ダゴンが導いてくれたのだ。私たちの運命をお前は知っているだろう。奴隷が簡単に勝利して、都市は引き渡された。サムソンの名を恐れて、我らの兵士たちは逃げ出した。

デリラ

私は彼の勇気があなたに立ち向かったことを知っています。

ダゴンの大祭司
ある日、お前の膝の上で彼の力は見捨てられた。彼はデリラを忘れようとした。彼は愛を忘れ、一日しか続かなかった炎を笑っている。

デリラ

彼は無駄に戦っています。彼がどれだけ私を愛しているか知ってます。彼は私の奴隷で、私の腕の中で震えています。

ダゴンの大祭司
お前の力で私を助けてくれ。彼は今日屈服するのだ。お前の奴隷のサムソンを売ってくれ。お前に彼の身代金を支払うために、約束はしない。お前は私の富から選ぶことができるのだ。

デリラ

デリラにとってあなたの黄金は関係ありません。

ダゴンの大祭司
私はお前の憎しみと目的を推測すべきだった。だが、お前の技は試してみたのではないか?

デリラ

はい。私はすでに3度、彼の力の秘密を明らかにしようとしました。3度とも私の望みを砕かれ、彼の正体は隠され、私は何もわかりませんでした。ですが、今日こそ彼は私の力に服従するでしょう。私は彼が青ざめ、私の前で震えているのを見たのですから。この最後の戦いのために、私は武器を用意しました。彼は私の涙に逆らえません。

デリラとダゴンの大祭司
仇討ちの栄誉を我に与えよ。団結しよう。ヘブライの指導者に死を!

ダゴンの大祭司が去る。

デリラ

彼の中で愛が力を失ったのかしら?彼が来ない。

デリラは家に入る。サムソンが到着して悩んでいる。彼はあたりを見回す。夜がさらに暗くなる。遠くで稲妻。

サムソン

ここへきてしまった。逃げたい。できない。愛を呪う。それでも私は彼女を愛してる。

デリラがサムソンに駆け寄る。

デリラ

サムソン。私の愛する人よ。どうして私の優しさを拒むの?

サムソン

あなたはいつも私に愛されていた。あなたを追い払うことができなかった。

デリラ

なぜあなたは心配をそばに置くの?あなたは私の心を疑うのですか?

サムソン

ああ、私は神のしもべ。私は彼の聖なる意思に従う。彼はしもべに言った。「私はあなたの兄弟からあなたを選んだ。彼らを主のもとに導き、彼らの不幸に終止符を打つのだ。」

デリラ

イスラエルの運命と栄光は私の悲しむ心には関係ないわ。愛が私の理性を狂わせて、あなたの約束を信じた。私はあなたの愛撫に酔いしれて、毒を飲んでしまったのね。

サムソン

私の心を苦しめるのをやめてくれ。あなたの涙が私の苦しみをよみがえらせる。デリラ、デリラ。愛している。

遠くで稲妻。

デリラ

あなたの神より強力な神が私の口からあなたに話しかける。彼は愛の神。美しい日々を思い出して。あなたが永遠に愛すべき人を。変わらずにいる者を!

サムソン

私を責めるのか?私は雷に打たれようとも、その炎から逃れるべきだ。

雷が近づいてきた。

デリラ

夜明けのキスに花開くように、あなたの声に私の心も開く。でも、愛する人よ、私の涙を乾かすためにもう一度あなたの声を聞かせて。

「あなたの声に私の心も開く」Mon coeur s’ouvre à ta voix

サムソン

デリラ、デリラ。愛している。

激しい雷鳴。

デリラ

だめよ、私は何を言っているの?あなたの言葉を疑うなんて。あなたはすでに軽率な誓いで私を欺いた。

サムソン

あなたのために私の神を、神の栄光を、私の民を、私の願いを忘れようとしている。

デリラ

私の愛を知って下さい。あなたの神がうらやましい。あなたの腕を恐ろしくさせる、神とあなたの誓いを私の愛に告白して下さい。

サムソン

私を結ぶ聖なる絆、心の秘密は、あなたの幸せに何の関係があるのだ?

デリラ

その告白をすることで、私の痛みを和らげて下さい。

サムソン

それを奪うには、あなたは無力だ。

デリラ

私の力は無力だわ。あなたの優しさも無力だ。私を苦しめる秘密を知りたい。

サムソン

言えない!山の上の嵐が怒りを放っている。神は私たちの額に雷を鳴らしている。

デリラ

臆病者。私はあなたを軽蔑します。さようなら。

幕の終わりまで稲妻と雷鳴。デリラが家に入る。嵐は激しくなる。サムソンは両腕を掲げて神を呼び出しているようだ。彼はデリラを追い、悩んで家に入る。激しい雷鳴。デリラがテラスに現る。

デリラ

私のもとに!ペリシテ人よ!

サムソン

裏切りだ。

兵士たちがデリラの家に入る。

「サムソンとデリラ」第3幕

第1場

ガザの牢獄

サムソンは髪を切られ、盲目になっている。彼は石臼を回している。舞台裏では、捕虜になったヘブライ人たちの合唱が聞こえる。

サムソン

私の不幸を見よ!私の苦悩を見よ!慈悲を!神よ、私の弱さを憐れんで下さい。神よ、私の哀れな砕けた魂を捧げます。

ヘブライ人の合唱
サムソン、お前の兄弟に何をした?祖先の神に何をした?

サムソン

兄弟よ!あなたたちのつらい歌は私の深い夜を貫き、私の罪悪感と不幸な心は死ぬほどの苦悩であふれます。神よ、あなたの怒りを鎮めるために、私の命を生け贄として下さい。

ペリシテ人が牢獄に入り、サムソンを連れて行く。

第2場

ダゴンの宮殿

神の像、生け贄の台。神殿の中央は、2本の柱が建物を支えている。大祭司、ペリシテの王族たち。デリラ、ペリシテ人の若い女たちは、花冠をかぶり、手には杯を持っていた。民衆が神殿を埋め尽くす。太陽が昇る。

ペリシテ人たち
夜明けは丘陵をすでに白くして、美しい夜の松明を消していく。宴を引き延ばして、夜明けを迎えよう。

「バッカナール」Bacchanale

サムソンが子供に率いられて来る。

ダゴンの大祭司
ようこそ、イスラエルの導き主よ。我らの祝宴を彩るためによく来てくれた。デリラよ、杯を準備しなさい。お前の恋人のために蜂蜜酒を注ごう。

サムソン

神よ、あなたの前に頭を下げます。神の意思により、ここで私の運命を果たさせて下さい。

デリラが杯を持ってサムソンに近づく。

デリラ

あなたの手を取らせて下さい。私たちの陶酔を思い出して。私たちの愛を思い出して。あなたはこの愛を信じていたのね。この愛があなたの鎖をつないだのよ。デリラは、今日敵を討ちました。神のため、民のため、復讐のために。

サムソン

神よ、あなたの前に頭を下げます。神の意思により、ここで私の運命を果たさせて下さい。

デリラと大祭司は神聖な杯が置かれている生け贄の台に向かう。サムソンは苦悩の中で神に祈っている。

ダゴンの大祭司とデリラ
勝利したダゴンに栄光あれ!神々と人間の主よ、あなたの魂が私たちとともにありますように。

ダゴンの大祭司
(子供に)彼を中央に導いてくれ。民衆が遠くから彼を見ることができるように。

サムソン

神よ、私を奮い立たせて下さい。見捨てないで下さい。

子供はサムソンを2本の柱の間に導く。サムソンが2本の柱を揺さぶる。

サムソン

あなたのしもべを思い出して下さい。神よ、どうか私に一瞬でもかつての力を取り戻して下さい。神よ、この場所をつぶすことで私に仇を討たせて下さい。

叫び声の中、神殿は崩壊する。

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