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【初心者向け】オルフェオ|簡単なあらすじと相関図

オルフェオの人物相関図

オルフェオは、ギリシャ神話を題材にしたオペラ創成期の作品です。同時期に、ヤーコポ・ペーリ「ダフネ」「エウリディーチェ」、ジューリオ・カッチーニ「エウリディーチェ」の音楽劇が作られていますが、一番現在のオペラの形に近いのが、モンテヴェルディの「オルフェオ」です。「オルフェオ」の見どころは、「覚えているか、木陰の森よ」Vi ricorda, o boschi ombrosi、「力強い霊、恐るべき神よ」Possente spirto e formidabil nume です。グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」と同じギリシャ神話を題材にしています。

目次

オルフェオ、オペラ:人物相関図

オルフェオ、オペラ:人物相関図
オルフェオ、オペラ:人物相関図

オルフェオ、オペラ:登場人物

オルフェオアポロ(太陽神)の息子・吟遊詩人テノール、ハイバリトン
エウリディーチェオルフェオの妻メゾソプラノ
プロセルピナプルトーネの妻メゾソプラノ
プルトーネ冥界の王バス
アポロ太陽神テノール
オルフェオ、オペラ:登場人物
  • 原題:L’Orfeo
  • 言語:イタリア語
  • 作曲:クラウディオ・モンテヴェルディ
  • 台本:アレッサンドロ・ストリッジョ
  • 原作:ギリシャ神話
  • 初演:1607年2月24日 マントヴァ宮廷
  • 上演時間:2時間

オルフェオ、オペラ:簡単なあらすじ

オルフェオとエウリディーチェの結婚式の日、エウリディーチェは毒蛇に噛まれて死んでしまう。オルフェオは彼女を冥界から連れ戻すことを決意する。

オルフェオは冥界への川を渡るために歌を歌う。

オルフェオ

私は生きていない。花嫁を失ってからというもの、私の心はなくなってしまった。心がないのにどうやって生きていけばいいのでしょう。私は冥界に行くのではない。美しい女のいる天国へ行くのだ。

オルフェオの歌は冥界の王の妻の心を動かし、エウリディーチェは地上への帰還を許される。ただし、冥界を出るまで妻の顔を見てはいけないという条件があった。オルフェオは思わず振り返ってエウリディーチェを見てしまった。彼女は地上に戻ることができなかった。

オルフェオが地上で嘆いていると、オルフェオの父アポロが天から下ってきた。オルフェオは父と共に天に昇っていく。

オルフェオ、オペラ:プロローグのあらすじ

音楽
川からやってきました。私は「音楽」です。音楽の調べにより、愛や悲しみ、怒り、人々の心を動かすことができます。

さて、これからオルフェオの話をしましょう。彼は自分の歌により、冥界までも動かした人物です。

オルフェオ、オペラ:第1幕のあらすじ

ギリシャ、トラキアの野原

羊飼いたち
楽しく幸せな日に、歌おう。エウリディーチェの心は穏やかになり、オルフェオは幸せになった。

「この楽しく幸せな日に」In questo lieto e fortunato giorno

ニンフと羊飼いたち
婚礼の神よ、来てください。愛し合う者たちに幸せな日々をもたらしますように。

羊飼いたち
オルフェオよ、あなたはかつて苦悩の中にあり、自然をも涙させたね。私たちがこうやって祝福しているのに、喜びの歌声を聴かせてくれないのか。

オルフェオ

天上のバラともいえる、太陽よ。私たちよりも幸せな恋人を見たことがあるだろうか。あなたと初めて会ったとき私は幸せだった。そして、今も幸せだ。結婚の誓いに、あなたが手を差し伸べてくれたから。

「天上のバラ」Rosa del ciel

エウリディーチェ

オルフェオよ。私の喜びがどれほどかは言い表せません。私の心は、愛の神とともにあなたの心にあるのですから。私がどれほどあなたを愛しているかを知りたければ、愛の神に聞いてください。

「わが喜びもいかばかりか」Io non dirò qual sia

ニンフと羊飼いたち
楽しげなニンフよ、優雅に踊れ。太陽が見てくれるように。婚礼の神よ、来てください。愛し合う者たちに幸せな日々をもたらしますように。

羊飼いたち
私たちの喜びが天から与えられるものならば、祈るのはいいことだ。神に末永く幸せであるように祈ろう。命が危険になるほどの苦悩があろうとも、絶望してはいけない。恐ろしい嵐の後には、太陽が輝くのだから。

ニンフと羊飼いたち
かつてため息と涙を流していたオルフェオは、今、幸せの中にいる。

オルフェオ、オペラ:第2幕のあらすじ

日差しの強くなってきた野原

オルフェオ

愛しい自然よ。太陽によって、私に昼と夜があるのだ。

羊飼いたち
見て、オルフェオ。太陽が木々から光を投げかけている。

ニンフと羊飼いたち
オルフェオよ、この野原にあなたの歌声を響かせておくれ。

オルフェオ

森よ。かつて私が嘆いていた時を覚えているか。運命が私の苦しみを幸せに変えてくれた。苦しみ生きていたが、今は幸せだ。美しいエウリディーチェ。あなたがいればこそ、苦しみに感謝できる。苦しみのあとでは、幸せはより一層大きいのだから。

「覚えているか、木陰の森よ」Vi ricorda, o boschi ombrosi

歌詞と対訳

「覚えているか、木陰の森よ」Vi ricorda, o boschi ombrosi|オルフェオ

祝いの場に、女の使者が慌ててやってくる。

女の使者
痛ましい出来事が起こってしまった!

「痛ましい出来事」Ahi caso acerbo

羊飼いたち
あなたは、エウリディーチェの友人ではないか。

女の使者
歌をやめてください。私たちの喜びは苦しみに変わったのですから。

オルフェオ

何のことだ?

女の使者
あなたの愛する花嫁は亡くなりました。野原で花冠を作っていた時、毒蛇にかまれたのです。彼女は「オルフェオよ」とかすかな声で呼びながら、私の腕の中で息を引き取りました。

オルフェオ

死んでしまった、私の命である人が。私はこのまま生きるのか?いいや、歌に力があるのなら、私は奈落の底まで行き、冥界の王と交渉して、あなたをこの世に連れ戻そう。もし無理ならば、私は死を選び、あなたのもとにとどまるのだ。大地よ、天よ、太陽よ、さようなら。

「私の命である君が」Tu se’ morta, mia vita, ed io respiro?

ニンフと羊飼いたち
痛ましい出来事。束の間の幸せを信じてはいけない。

女の使者
忌まわしい知らせを届けてしまった。この場に身を置くことができない。私はこれから洞穴に隠れて、生涯を過ごそう。

羊飼いたち
エウリディーチェとオルフェオの光が失われてしまった。一人は毒蛇にかまれ、一人は苦しみの中にいる。

ニンフと羊飼いたち
痛ましい出来事。過酷な運命よ。

オルフェオ、オペラ:第3幕のあらすじ

冥界の入り口・川

オルフェオ

人間の頼みの綱である「希望」よ。あなたに導かれて、この冥界までやってきました。再び彼女に会えることを信じて。

希望
ここに川があり、川の向こうが冥界だ。魂を冥界に運ぶ渡し守がいる。今こそ、お前の勇気と歌が必要だ。

私はここまでお前を連れてきたが、掟によりここまでだ。冥界の石に彫ってある。「ここに入る者は、希望を捨てよ。」

お前がこの地に足を踏み入れるのなら、私は地上に去る。

オルフェオ

「希望」よ、去らないでおくれ。もうすぐ目的の場所なのに、危険な道に私を置いていくのか。

希望の化身が去り、カロンテが現れる。

カロンテ(冥界の渡し守)
命ある者がこの川に近づくとは。離れろ。お前の愛しい妻を奪いに来たのだな。だが、私は命ある者を運んだことはない。

オルフェオ

力強い霊、恐るべき神よ。あなたなしに肉体のない魂は、川を渡ることができません。

私は生きていないのです。花嫁を失って以来、私の心は失われた。心なしにどうやって生きていくのでしょう。

彼女のもとに足を進めよう。冥界に向かってではないのです。美しい女性のいる天国に向かっているのです。

私はオルフェオ。エウリディーチェの後を追うのです。

「力強い霊、恐るべき神よ」Possente spirto e formidabil nume

歌詞と対訳

「力強い霊、恐るべき神よ」Possente spirto|オルフェオ

カロンテ(冥界の渡し守)
お前の歌は、私の心に哀れみを抱かせようとする。私から遠く離れてくれ。

オルフェオ

冥界の者が私の祈りを聞き入れてくれるのを望むことはできないのか。望みが叶わないなら、私は天国にも地獄にも行けないだろう。私の宝を返してほしい。

オルフェオが歌い続けていると、カロンテが眠っていることに気が付く。

オルフェオ

彼(カロンテ)は眠っている。私の歌は彼の心を動かすことはできなかったが、彼に眠りをもたらした。さあ、川を渡ろう。

オルフェオは船に乗り、川を渡る。

オルフェオ、オペラ:第4幕のあらすじ

冥界

プロセルピナ(冥界の王の妻)
王よ、あの不幸な男はエウリディーチェを求めています。私は彼の歌に心を動かされました。

エウリディーチェを彼のもとに戻し、哀れなオルフェオを慰めてください。

プルトーネ(冥界の王)
愛する妻よ、お前の美しさと祈りを拒むことはできない。運命には反するが、オルフェオとエウリディーチェが再び会うことを許そう。

だが、この冥界から足が離れないうちは、オルフェオはエウリディーチェを見てはいけない。一目見るだけでも、彼女を永遠に失うだろう。

臣下たちよ。私の決定を、冥界のすべてに知らせろ。オルフェオやエウリディーチェにも。

霊たち
冥界で、愛と哀れみが勝利した。

オルフェオのもとに、エウリディーチェが来る。

オルフェオ

私の歌は、冥界の人々の心を動かした。今日にでも愛する女の胸に抱かれるだろう。

だが、彼女は私の後ろをついてきてくれているのだろうか。冥界の神々が私に嫉妬をして、彼女を見ないようにさせているのでは?
(大きな物音)
何の音だ?神が私の宝を奪おうとしているのでは?それなら私は許さない。

オルフェオが振り向いて、エウリディーチェを見てしまう。


お前は掟を破った!

エウリディーチェ

ああ、痛ましい姿よ。大きな愛ゆえに、あなたは私を失うのです。そして、私は光と命を失い、何よりもあなたを失うのです。


気の毒なエウリディーチェ。冥界に戻りなさい。

オルフェオ

どこへ行くのか、愛しい人よ。私もついていく。だが、私の気持ちに逆らって、体が光の国に連れていかれる。

霊たち
オルフェオは地獄に打ち勝ったが、自らに負けてしまった。

オルフェオ、オペラ:第5幕のあらすじ

トラキアの野原

オルフェオ

愛する者を取り戻すことができず、ここに戻るしかなかった。自然よ、どうか私と一緒に嘆いておくれ。私とともに涙を流しておくれ。苦悩よ、涙よ!

こだま
涙よ!

オルフェオ

これだけの不幸の中では、どれだけ涙を流しても充分ではない。

こだま
充分ではない。

オルフェオ

エウリディーチェに、最後の言葉を贈ろう。美しい体に美しい魂が宿るあなたを、どれだけ褒めても足りない。

他の女たちは、傲慢で不実だ。これから先、私がそのような卑しい女に愛を抱くことはないだろう。

天から雲に乗って、アポロが降りてくる。

アポロ(オルフェオの父)
わが子よ。苦しみと憎しみのとりこになるとはどうしたことか。お前を救うためにやってきた。

オルフェオ

父上。私は絶望の中にいるのです。あなたの言葉に耳を傾けましょう。

アポロ(オルフェオの父)
お前は自分の幸せを喜びすぎていた。そして、今は嘆きすぎている。

この地上では、どのようなことも長くは続かないのだ。永遠の命を享受したいのなら、私とともに天上に来なさい。

オルフェオ

もうエウリディーチェに会うことはできないのですか。

アポロ(オルフェオの父)
太陽と星の間に、彼女の面影を見るだろう。

オルフェオ

父上の忠告に従います。歌いながら天に昇ろう。

ニンフと羊飼いたち
オルフェオよ、天上の名誉を受け取るのだ。地上で苦しんだものは、天上で救われる。苦しみの中で種をまく者は、実りを受け取るだろう。

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