ジャンニ・スキッキ【さらば、フィレンツェ】歌詞と対訳|Addio Firenze

ジャンニ・スキッキ 全1幕

ジャンニ・スキッキは「遺言状の書き換えは重たい罪に問われるぞ」と脅して、後で何も文句を言われないように画策しています。

この「さらば、フィレンツェ」の後に、スキッキが亡くなった人になりすまし、リヌッチョ家の財産分与について、自分に有利に遺言を言います。

スキッキ

(亡くなった人になりすまし)わしの財産は、友人のスキッキに渡そう。

親戚
なんだって!許せない!

スキッキ

さらば、フィレンツェ!手のない腕で!(もし遺言状の偽造がばれたら、みんな捕まるぞ!)

親戚
(何も言えない)

リヌッチョの親戚たちが怒りながらも何も言えない場面で、タイミングよく歌われます。

目次

「さらば、フィレンツェ」Prima un avvertimento 【歌詞と対訳】

Prima un avvertimento!
O Signori, giudizio!
Voi lo sapete il bando?

“Per chi sostituisce se stesso
in luogo d’altri
in testamenti e lasciti,
per lui e per i complici
c’è il taglio della mano
e poi l’esilio!”

Ricordatelo bene! Se fossimo scoperti.
la vedete Firenze?

スキッキ

最初に、警告だ!
皆さん、よく判断を!
告知を知っているか?

「自身が(他人として)入れ替わった者は
(他人の代わりとして)
遺産と遺言のために
その者と共犯者は
手を切り落として
そして、追放だ」

覚えておくように!もし捕まれば、
フィレンツェが見えるかな?

Addio Firenze, addio cielo divino,
io ti saluto con questo moncherino,
e vo randagio come un Ghibellino!

スキッキ

さようなら、フィレンツェ。さようなら、神聖な空。
切断した残りの腕で、別れの挨拶をしよう。
そして、ギベリン(皇帝派)のようにさまようのだ。

【解説】教皇は腕がなくなり、皇帝は僻地に追放

11世紀、神聖ローマ帝国の皇帝ハインリヒ4世とローマ教皇グレゴリウス7世のは、叙任権を巡り争います。(叙任権闘争)

ローマ教会の聖職者を「誰がどの役職を決めることができるか」で、争ったのです。ハインリヒ4世が指名権を持っていたことで、皇帝に都合のよい人物が教会の重職につき、腐敗していました。

教皇

皇帝によって、教会が腐敗するのは許せない。

皇帝

教会の荘園で、私腹を肥やしたい。

皇帝が教皇を免職 → 教皇が皇帝を破門 → 皇帝が3日間謝罪(カノッサの屈辱) → 教皇が皇帝の破門を解く → 皇帝が武力蜂起 → 教皇が追い払われて死亡(腕を切り落とされた) → 皇帝も新教皇と対立し、死亡

教皇

教皇は、腕を失った上に、皇帝にローマから追放され、死亡。

皇帝

皇帝は、新教皇や息子と対立し、僻地に追いやられ死亡。

二人の死後もこの対立は次の世代、国境を越えて、影響を与えます。

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