オペラ「ペレアスとメリザンド」あらすじと相関図|ドビュッシー

ペレアスとメリザンドは、ドビュッシーによる5幕のオペラです。ドビュッシーが完成させた唯一のオペラになります。ペレアスとメリザンドの見どころとしては、第3幕でメリザンドが歌う「Mes longs cheveux」が有名です。

目次

オペラ・歌劇「ペレアスとメリザンド」の簡単なあらすじ

ゴロー王子(王子だが既に白髪ある年齢)は、森の中で髪の長い不思議な少女メリザンドに出会う。ゴローは彼女と結婚して、アルモンド国の老王アルケルの城に戻る。そこで、メリザンドはゴローの異父弟ペレアスと出会う。

ゴローはペレアスとメリザンドの関係を疑う。ペレアスは城を去る決意をして、彼女に最後の別れの挨拶をする。二人は互いの思いを確かめ合う。盗み聞きしていたゴローがペレアスを殺す。

メリザンドは娘を出産して、病床にいる。ゴローは彼女に「事実」を言うように懇願する。彼女は罪を犯していないと言う。赤ん坊は泣かず弱々しい。メリザンドは静かに死ぬ。

「ペレアスとメリザンド」の相関図

オペラ「ペレアスとメリザンド」の相関図
オペラ「ペレアスとメリザンド」の相関図

「ペレアスとメリザンド」の登場人物

メリザンド長い髪の少女ソプラノ
ペレアスアルケル王の孫テノール
ゴローペレアスの異父兄バリトン
アルケルアルモンド国の老王・ゴローとペレアスの祖父バス
ジュヌヴィエーヴゴローとペレアスの母メゾソプラノ
イニョルドゴローと先妻の子メゾソプラノ

「ペレアスとメリザンド」の基本情報

  • 題名 ペレアスとメリザンド Pelléas et Mélisande
  • 作曲 ドビュッシー
  • 初演 1902年4月30日 パリ オペラ・コミック座
  • 原作 モリス・メーテルリンクの戯曲「ペレアスとメリザンド」
  • 台本 ドビュッシーによる改訂、原作戯曲
  • 言語 フランス語
  • 上演時間 2時間45分(第1幕35分 第2幕30分 第3幕35分 第4幕40分 第5幕25分)

「ペレアスとメリザンド」第1幕

第1場

ゴローは狩りの途中で迷子になる。彼は湖の近くで泣いている少女を見つける。

ゴロー

なせここで一人で泣いているの?

私にふれないで。さもなければ、私は水の中に入ります。

ゴロー

触らないよ。水の中に何か光るものがある。

メリザンド

冠です。もういらない。あなたがそれを取ったら、私はその場所に身を投げます。あなたは誰ですか?

ゴロー

私は王子ゴロー。老王アルケルの孫だ。

メリザンド

あなたはすでに白髪を持っている。

ゴロー

ああ、いくつかあるな。君はひとりでここにいるわけにはいかないだろう。一緒に行こう。

ゴローとメリザンドは森を出ていく。

第2場

城の部屋

老王アルケルとジュヌヴィエーヴが話している。

ゴローとペレアスの母(ジュヌヴィエーヴ)
ゴローが弟に手紙を寄こしました。「ある夕暮れ、湖のほとりで少女を見つけました。彼女と結婚して6か月経過しましたが、私は私たちが出会った日しか知りません。私はアルケル王が恐ろしい。彼が彼女を娘のように迎えてくれるのなら、この手紙から3日後に海に面した塔にランプを灯してほしい。そうでなければ、私は二度と戻らない。」

老王・祖父(アルケル)
私は何も言えない。私たちは運命の裏側を見ることはできない。彼は妻の死から一人でいることに耐えていた。私は彼をウルスラ姫と結婚させることで「長い戦争と古代の憎しみ」を終わらせようと計画していた。だが、彼の望み通りにしよう。私は決して運命の邪魔をしない。彼は私よりも自分の未来をわかっている。

ゴローとペレアスの母(ジュヌヴィエーヴ)
妻の死後、彼は息子のために生きてきました。どうしましょうか?

ペレアスが泣きながら部屋に入る。

ペレアス

兄の手紙と同時に友人からも手紙を受け取りました。彼は死にかけているそうです。私の到着を待つことができるようです。

老王・祖父(アルケル)
彼を待たせてしまうが、お前の兄の到着が私たちに何かをもたらすかもしれない。お前の友人よりお前の父の方が病が重いだろう。お前は父と友人のどちらを選ぶのか?

ゴローとペレアスの母(ジュヌヴィエーヴ)
ペレアス、今晩、ランプを灯すように。

第3場

城の前

メリザンドとジュヌヴィエーヴが話している。

メリザンド

庭が暗い。なんという森が城を囲んでいるのでしょうか。

ゴローとペレアスの母(ジュヌヴィエーヴ)
誰かが近づいてくる。ペレアスだわ。

ペレアス

海に向かう途中です。今夜は海が荒れそうだ。

メリザンド

なぜ出航するのですか?難破するかもしれません。

ゴローとペレアスの母(ジュヌヴィエーヴ)
家に帰る時間だわ。ペレアス、メリザンドに道を案内して。イニョルドに会いに行かなくては。

ジュヌヴィエーヴが城に戻る。

ペレアス

この道を降りよう。私の手を取ってください。

メリザンド

私の手は花をもっています。

ペレアス

あなたの腕を支えよう。道は険しく暗い。私は明日に出発するかもしれません。

メリザンド

なぜあなたは去るのですか?

「ペレアスとメリザンド」第2幕

第1場

庭園の泉

ペレアスはメリザンドを庭園の泉に案内する。

ペレアス

どこに連れて来たかわかりますか?庭が暑くなる正午に私はここに来ます。

メリザンド

水が澄んでいる。

ペレアス

古い泉です。かつては奇跡の泉と呼ばれ、盲人の目を開かせました。今でも「盲人の泉」と呼ばれています。王はほとんど目が見えなくなり、誰もここには来ません。

メリザンド

大理石の横になろう。水の底が見たい。

ペレアス

滑らないように気をつけて。あなたの手を取りましょう。

メリザンド

いえ、水に手を入れたい。今日の私の手は病気のようだわ。

ペレアス

あなたの髪が水に浸かっています。

メリザンド

私の腕よりも長い。私よりも長いの。

ペレアス

何で遊んでいるの?

メリザンド

彼がくれた指輪。

ペレアス

空高く投げたらダメだよ。

メリザンド

水に落ちた。どうしよう。

ペレアス

心配しないで。指輪が落ちたのは正午でした。

メリザンド

どこにやったと聞かれたら?私はなんと答えたら?

ペレアス

「真実」だ。

第2場

城の部屋

ゴローがベッドに横たわり、メリザンドも枕元にいる。

ゴロー

ああ、大丈夫だ。森の中で狩りをしていたら、馬が突然暴れた。私はちょうど正午の音を聞いた。私は落馬した。だが、大したことはない。

メリザンドが泣く。

メリザンド

私はここでは病気になります。私はここでは幸せになれません。

ゴロー

誰かがお前を傷つけたのか?王か?私の母か?ペレアスか?

メリザンド

誰でもありません。あなたは私を理解できません。

ゴロー

お前は私から去りたいのか?

メリザンド

いいえ、そうではありません。あなたと一緒に行きたいです。私はここでは生きていけません。

ゴロー

でも、それなら理由があるだろう。ペレアスか?彼はお前とあまり話していないが。

メリザンド

時々話します。彼は私を好きではないと思います。彼の目でそれを感じました。でも、会うと話しかけてくれます。

ゴロー

彼を責めてはいけないよ。彼は変なんだ。変わるだろう。お前も見るだろう。彼は若いのだから。

メリザンド

そのようなことではありません。

ゴロー

それなら何なんだ?ここでの暮らしに慣れないのか?確かに城は暗く寒い。住んでいる者は年をとっている。教えてくれ。お前の望むことは何でもしよう。

メリザンド

ここでは空が見えません。

ゴロー

空が見えなくて泣いているのか?もうそんなことで泣く年齢ではない。さあ、手を貸してごらん。私がお前にあげた指輪はどこだ?

メリザンド

落としました。海辺の洞窟。そこにあるに違いない。今朝、イニョルドのために貝殻を拾いました。指輪は私の指から滑り落ちた。その時海が入ってきました。見つける前に出なければなりませんでした。

ゴロー

すぐに取りに行かなければならない。

メリザンド

今?すぐに?暗闇の中で?

ゴロー

指環を失うくらいなら、すべてを失った方がましだ。今夜は海が高くなるだろう。海がお前の前に取っていくかもしれない。急ぎなさい。

メリザンド

私は一人で行くつもりはありません。

ゴロー

誰でもいい。急げ。ペレアスに一緒に行くように頼みなさい。

メリザンド

ペレアス?彼は望まないでしょう。

ゴロー

ペレアスはお前が望めばなんでもする。私はお前よりもペレアスを知っている。急げ。指輪を取り戻すまで、私は眠らない。

メリザンド

私は嬉しくない。

メリザンドは泣きながら出ていく。

第3場

洞窟

ペレアスとメリザンドは洞窟の前にいる。

ペレアス

そうだ、この場所だ。入りましょう。彼があなたに質問をしたときに、あなたはどこで指輪をなくしたのか説明できないといけません。

月が洞窟を照らす。白髪の三人の老人が岩に寄りかかって眠っている。

メリザンド

行きましょう。

ペレアス

3人の年老いた貧しい人々が眠りに落ちています。その国に飢饉があります。大きい声を出してはいけない。また別の日に来ましょう。

「ペレアスとメリザンド」第3幕

第1場

城の塔

塔の窓辺で、メリザンドが髪を梳いている。

メリザンド

私の長い髪は塔の入り口まで下がっています。私の髪は塔に沿ってあなたを待っています。一日中、一日中。聖ダニエルと聖ミシェル。聖ミシェルと聖ラファエル。私は日曜日の正午に生まれました。

「私の長い髪」Mes longs cheveux

ペレアスが塔に来る。

メリザンド

そこにいるのは誰?

ペレアス

私、私、私だ。影に隠れないで。少し前かがみになって、あなたの髪が見えるようにしてくれ。

メリザンドが窓から乗り出す。

ペレアス

私は出発します。明日、出発します。あなたの手を、あなたの小さな手を私の唇に下さい。

メリザンド

これ以上前かがみになれません。私の髪が塔から落ちる。

メリザンドの髪が塔から垂れ下がる。

ペレアス

あなたの髪を手にしている。口に入れている。腕に抱えている。首に巻いている。今夜はこの手を開きません。あなたの髪を柳の木に結び付けよう。あなたの髪にキスをしよう。私の手は自由だ。あなたはもう私から離れることができない。

メリザンド

あなたは私を傷つけた。

鳩の群れが飛び立つ。

メリザンド

これは私の鳩よ。彼らはもう戻ってこない。足音が聞こえる。ゴローだわ。

ペレアス

待ってくれ。あなたの髪は柳に絡まっている。

ゴローがやってくる。

ゴロー

ここでお前たちは何をしている?お前たちは子供だな。メリザンド、そんな風に窓から身を乗り出すな。落ちるよ。もうすぐ真夜中だ。暗闇の中で遊ばないで。なんという子供たち!

ゴローとペレアスがその場を離れる。

第2場

城の地下道

ゴロー

これが私の話した濁った水だ。死の匂いがするか?岩の端に行って覗いてごらん。落ちないようにお前の腕を支えていよう。深淵が見えるか?

ペレアス

深淵の底が見えるようです。ここは息が詰まる。行きましょう。

第3場

地下道の出口

ペレアス

ああ、息がつける。空気は鉛のように重く、毒のように濃い闇だった。そして、今、海からの空気がある。正午近くに違いない。ほら、母とメリザンドが塔の窓にいる。

ゴロー

メリザンドといえば、昨日の夜に何が起こったのか、何を言ったのかを聞いた。子供の遊びだとわかっている。だが、繰り返してはいけない。彼女はまもなく母親になる可能性があり、少しの感情が不幸になる可能性がある。お前たちの関係に何かがあると気が付いたのは初めてではない。お前は彼女より年上だから、こう言っただけで十分だろう。できるだけ彼女を避けなさい。

第4場

城の前

ゴローとイニョルド。

ゴロー

お母さんはペレアスおじさんとよく一緒にいるようだね?

ゴローと先妻の子(イニョルド)
はい。いつも。お父さんがいない時に。

ゴロー

だが、彼らは互いが好きではないと言っていたよ。よくケンカをするらしいね。彼らは何について口論するの?

ゴローと先妻の子(イニョルド)
扉について。扉を開けられないからだって。

ゴローはイニョルドの腕を強く握る。イニョルドが泣く。

ゴロー

彼らはなぜ扉を開けたくないの?お前はいつも彼らの側にいるの?彼らに別の場所に遊びに行けと言われないの?

ゴローと先妻の子(イニョルド)
彼らは僕がいないと、怖がるんだ。二人はいつも暗がりで泣いているよ。

ゴロー

ああ!彼らはキスをするのか?

ゴローと先妻の子(イニョルド)
いいえ、いや、はい。雨が降っている日に。

ゴロー

お前の母さんを見たいか?彼女はひとりか?

ゴローはイニョルドを肩車して、メリザンドの部屋をのぞかせる。

ゴローと先妻の子(イニョルド)
ペレアスおじさんがいます。彼らは話していないよ。目を閉じていない。僕は声を上げるよ。下ろして!

「ペレアスとメリザンド」第4幕

第1場

城の部屋

ペレアス

父の部屋から出てきました。彼はよくなっています。医者は彼が救われたと言いました。父は私の手を取って言いました。「お前は悲しそうにしているね。お前は旅行しなければいけない。」私は彼に従います。あなたは気が付きませんか?家全体が生き返ったようです。盲人の泉の庭園であなたに会えますか?

メリザンド

はい。

第2場

城の部屋

老王・祖父(アルケル)
ペレアスの父が救われ、病という死のしもべが去った今、小さな喜びと太陽が家にもたらされた。時が来た。メリザンド。あなたには申し訳なかった。あなたが死の息吹の下で生きるのは、若く美しすぎた。ですが、今ではすべてが変わった。私が予見する新しい時代の扉を開くのは、お前だ。

メリザンド

私は不幸ではありませんでした。

ゴローが来る。

ゴロー

ペレアスは今晩出発します。

老王・祖父(アルケル)
額に血がついている。

メリザンド

拭きましょう。

ゴロー

私に触るな。剣を取りに来たのだ。海辺で飢えた者たちを見つけました。私の剣だ。なぜお前は震えている?私はお前を殺さない。

老王・祖父(アルケル)
彼女には「偉大なる無邪気」が見える。

ゴロー

偉大なる無邪気?子羊の目より純粋だ。神に無垢を教えるだろう。お前の目を閉じろ。または、私が長く閉じてやろう。逃げるな!

ゴローはメリザンドの髪を掴んで引きずる。

ゴロー

ひざまずけ!お前の長い髪がついに何かをするだろう。右へ、左へ。前へ後ろへ。好きなようにするさ!私は年をとりすぎている。機会を待つ。それが慣習だから。

ゴローは走り去る。

老王・祖父(アルケル)
あいつはどうしたのか?酒でも飲んだのか?

メリザンド

いいえ。でも、彼は私をもう愛していません。

第3場

庭園の泉

イニョルドが岩を持ち上げようとしている。

ゴローと先妻の子(イニョルド)
この石は重いな。僕より重い。岩と厄介な岩の間に、金色のボールが見えるけれど届かない。

羊の群れの鳴き声が聞こえてくる。

ゴローと先妻の子(イニョルド)
羊が鳴いている。羊飼いが土を投げている。僕の間近を通り過ぎる。羊は沈黙している。羊飼いよ、なぜ羊は鳴かないの?

羊飼い
羊小屋への道ではないから。

ゴローと先妻の子(イニョルド)
どこに行くの?羊は遠くに行ってしまった。羊は今夜どこで寝るんだろう?暗すぎる。僕は誰かに言いたいことがある。

第4場

庭園の泉

ペレアスが泉にひとりでいる。

ペレアス

最後の夜だ。すべては終わらなければいけない。私は夢の中で運命の罠の周りで遊んでいた。最後に彼女に会わなければいけない。私が彼女に言っていないことをすべて話さなければいけない。

メリザンドが来る。

ペレアス

月明かりに止まらないで。菩提樹の木陰においで。

メリザンド

人に見られたい。

ペレアス

遅いよ。あと1時間で城の扉が閉まる。どうして遅くなったの?

メリザンド

あなたのお兄さんが悪い夢を見ました。私のドレスが扉にひっかり破けました。それで時間を失って、走りました。

ペレアス

あなたに会うのはこれで最後かもしれません。私は永遠に去らなければならない。

メリザンド

あなたはなぜいつも去ると言うの?

ペレアスはメリザンドに突然キスをする。

ペレアス

私はあなたを愛しています。

メリザンド

(低い声で)私もあなたを愛しています。

ペレアス

君の声は春の海を渡ってきたようだ。世界の果てから来たような声で言うのだな。ほとんど聞こえなかったよ。いつから私を愛していたの?

メリザンド

ずっと、あなたと会った時から。

城の扉を閉める音がする。

ペレアス

もう戻れない。

メリザンド

これでいいのよ。

ペレアス

全てが失われ、全てが救われた。今夜、全てが救われた。

ペレアスがメリザンドを抱きしめる。

メリザンド

木の後ろにいます。ゴローが!

ペレアス

ええ、私にも見えました。振り向いてはいけない。

メリザンド

彼は剣を持っています。

ペレアス

私は持っていない。行って。私が彼を止めます。彼は私たちを殺すでしょう。

二人は狂ったようにキスをする。

ペレアス

すべての星が落ちてくる。

メリザンド

私も!私にも!

ゴローが飛び出して、ペレアスを刺す。メリザンドは逃げ出す。ゴローは黙ってメリザンドを追いかける。

「ペレアスとメリザンド」第5幕

城の部屋

アルケルとゴローと医者が部屋の隅にいる。メリザンドはベッドに寝ている。

医者
彼女が死ぬのは、小さな傷のせいではありません。この程度では鳥だって死にません。だから、彼女を殺したのはあなたではありません。

老王・祖父(アルケル)
彼女の魂は永遠に冷たくなるようだ。

ゴロー

私は理由もなく殺したのだ。彼らは幼い子供のようにキスをしていた。彼らは兄妹だった。

医者
気を付けて。彼女が目を覚まします。

メリザンド

窓を開けて。太陽はもう沈んでいますか?

老王・祖父(アルケル)
太陽は海に沈んでいるよ。

メリザンド

この部屋にあなたはひとりですか?

老王・祖父(アルケル)
医者。そして、別の誰かがいる。

メリザンド

それは誰?

老王・祖父(アルケル)
怖がらないで。彼はあなたを傷つけるつもりはない。お前の夫、ゴローだよ。

メリザンド

ゴローがここにいるの?なぜ私に近づかないの?

ゴローがメリザンドに近づく。

メリザンド

ゴロー?あなたですか?私はあなただとわかりませんでした。夕日が目に入るから。なぜ壁を見るの?あなたは痩せて老いた。

ゴロー

(アルケルと医者に)少し部屋を出て下さい。扉を大きく開けておきます。ほんの少しの間です。彼女に言いたいことがあります。そうでなければ、私は死ぬことができません。

アルケルと医者が出ていく。

ゴロー

私がお前を憐れむように、お前も私を憐れんでくれ。私を許してくれるか?

メリザンド

ええ、許しますよ。何を許す必要があるのですか?

ゴロー

私はお前をとても傷つけた。私がお前に与えた害を言うことはできない。出会った日から、起こったこと、これから起こることはすべて私のせいだ。だが、私がお前を愛していた。そして今、誰かが死のうとしている。私は知りたい。私は真実を知らなければならない。そうでなければ、眠ることができない。真実を語ることを誓うか?

メリザンド

はい。

ゴロー

ペレアスを愛していたか?

メリザンド

はい。愛しています。彼はどこにいますか?

ゴロー

わからないのか?私の言うことが理解できないのか?こういえばいいのか。お前は彼を禁断の愛で愛していたのか?お前は罪を犯したのか?

メリザンド

いいえ、私たちに罪はありません。

ゴロー

真実を教えてくれ。死の間際に嘘をつくな。

メリザンド

死ぬのは誰?私ですか?

ゴロー

お前、お前。お前の後に、私も。そして、真実が必要だ。全部教えてくれ。私はお前を許す。

メリザンド

なぜ私は死ぬの?私は知らなかった。

アルケルと医者が扉近くで見ている。

ゴロー

中に入ってください。私は何もわからず、何も役に立たない。彼女はすでに遠くに行った。私は決して知ることができない。私は盲人のように死ぬ。

老王・祖父(アルケル)
どうした?彼女を殺してしまうぞ。

ゴロー

私はすでに彼女を殺してしまった。

老王・祖父(アルケル)
子供に会いたいかね?

メリザンド

どんな子?

老王・祖父(アルケル)
お前の子。お前の小さな女の子。ここにいるよ。

メリザンド

変だわ。彼女を抱えることができない。

老王・祖父(アルケル)
お前が弱っているからだよ。私が彼女を抱えよう。

メリザンド

笑いませんね。彼女は小さい。

城の女性の使用人が部屋に静かに入ってくる。

ゴロー

何?ここにいる女性たちは何で来た?

老王・祖父(アルケル)
誰が呼んだ?

医者
私ではありません。

ゴロー

ここで何をしている?誰も呼んでいない。

女性の使用人たちは何も答えない。

老王・祖父(アルケル)
大声を出すな。彼女は眠っている。

ゴロー

そうではないかも?

医者
息をしています。

老王・祖父(アルケル)
彼女は泣いている。今泣いているのは彼女の魂だ。腕を伸ばしている。彼女は何を望んでいるのか?

医者
子供でしょう。

ゴロー

メリザンド。話してくれ。

老王・祖父(アルケル)
近寄るな。邪魔をするな。彼女と話をするな。お前は魂が何かを知らない。

ゴロー

私のせいではない。

老王・祖父(アルケル)
慎重に。私たちは低い声で話さなければいけない。人間の魂は静かだ。人間の魂は一人であるものだ。

部屋の使用人が突然ひざまずく。

老王・祖父(アルケル)
何事だ?

医者
彼らの言う通りなのでしょう。

老王・祖父(アルケル)
私には何も見えなかった。何も聞こえなかった。あっという間に、あっという間に彼女は逝ってしまった。

ゴローがすすり泣く。

老王・祖父(アルケル)
ここに留まるな。ゴロー。彼女には沈黙が必要だ。恐ろしいことだが、お前のせいではない。彼女は静かで小さな存在だった。哀れで不思議な存在だった。子供をこの部屋に留めてはいけない。彼女の代わりに生きなければいけない。哀れな女の子の番が来た。

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