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リゴレット【ふたりは同じ穴のむじな】歌詞|Pari Siamo

リゴレット【ふたりは同じ穴のむじな】歌詞|Pari Siamo

リゴレット 第1幕

リゴレットは、マントヴァ公爵に仕える宮廷道化師。あちこちの女性に手を出して捨てる公爵に、リゴレットは「よくやった」と調子を合わせて捨てられた者を嘲笑。娘をもてあそばれたモンテローネ伯爵は、マントヴァ公爵とリゴレットに対して「呪われてしまえ」と罵ります。

自宅に帰る前にリゴレットが気になるのは呪いの言葉。そこに現れたのが、暗殺者のスパラフチーレ。「はした金で暗殺を請け負うよ」とリゴレットに言い去って行きました。

リゴレットは暗殺者のスパラフチーレと自分は同じだと、ひとり思い悩むモノローグが「ふたりは同じ穴のむじな Pari Siamo」です。

目次

「ふたりは同じ穴のむじな」Pari Siamo【歌詞と対訳】

Pari siamo!…
Io la lingua, egli ha il pugnale.
Uomo son io che ride, ci quel che spegne!
Quel vecchio maledivami…
O uomini! o natura!
Vil scellerato mi faceste voi!…
O rabbia! esser difforme, esser buffone!
Non dover, non poter altro che ridere!
Il retaggio d’ogni uom m’è tolto … il pianto
Questo padrone mio,
Giovin, giocondo, sì possente, bello,
Sonnecchiando mi dice:
Fa’ ch’io rida, buffone!
Forzarmi deggio e farlo! Oh dannazione!…
Odio a voi, cortigiani schernitori!
Quanta in mordervi ho gioia!
Se iniquo son, per cagion vostra è solo…
Ma in altr’uomo qui mi cangio…
Quel vecchio maledivami!…Tal pensiero
Perché conturba ognor la mente mia?
Mi coglierà sventura?… Ah no, è follia!

リゴレット

私たちは同じだな!
私は舌があり、あいつは短剣だ。
私は笑う男、あいつは消す男!
あの老いぼれは、私を呪った
人間よ!自然よ!
お前たちが私を悪党にした!
ちくしょう!人と違うことで、道化とは!
私には権利がなく、笑うことしかできない!
全ての人が持てる権利が、私から奪われた…私の涙をも
私の旦那様は、
若く、遊び心があり、力強く、男前、
夢見心地で、私に言うのだ、
笑わせてくれよ、道化師!
無理をしてでもやらねばならない!くそったれ!
憎たらしい、あざける廷臣たちが!
お前たちにかみつけるなら、どれほど嬉しいか!
私が不法なのは、お前たちのせいでしかない。
だが、ここでは私は別人になる
あの老いぼれは、私を呪った…この考えが
なぜいつまでも頭を悩ませるのだろう?
不幸が私に訪れるのか?…いや、ばかな!

【解説】呪いは、なぜ公爵には効果がなく、リゴレットに効いたのか?

「ふたりは同じ穴のむじな」Pari Siamoの歌詞を読めば、呪われたのはふたり(公爵とリゴレット)なのに、なぜ公爵には効果がなく、リゴレットに効果があったのかが、わかります。

仕事中は無理をして、家に戻れば別人になる

Forzarmi deggio e farlo!

無理をしてでもやらねばならない!

仕事中は、マントヴァ公爵の意に沿うように、心にもないことを言って公爵のご機嫌を取ります。

第1幕の前半、マントヴァ公爵によって酷い目にあった人々に対して、同情心や道徳心を封印して毒舌や嘲笑を繰り返していました。

Ma in altr’uomo qui mi cangio…

だが、ここでは私は別の男になる・・・

リゴレットは公私の切り替えをすることで「自分の娘を守っている」つもりだったのでしょうが、「自分の心も守っていた」ということですね。

リゴレットは、良心の呵責で呪いに掛かってしまった

娘がもてあそばれて捨てられたモンテローネ伯爵の言葉が心に残るのは、伯爵を気の毒に思う心がリゴレットにあったから。(リゴレットには良心の呵責)

もてあそんだ本人のマントヴァ公爵は、モンテローネ伯爵と娘を気にとめていないから呪いに掛かりませんでした。(公爵には良心の呵責はない)

オペラ「リゴレット」の最後の場面、リゴレットの叫びと舞台裏から聞こえるマントヴァ公爵の「女心の歌」の対比は悲劇をよりいっそう強く印象づけます。

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